先日は、タイヤの側面がこぶのように膨らんでくる『ピンチカット』について書きましたが、今回はタイヤの走行面(地面に接している面)が膨らんだりタイヤのサイド部分が広い範囲にわたって膨らんだりした場合の原因と対策について解説します。
ピンチカットとはまた違う症状と原因をお話しましょう。
店長
久留間くん、先日話したピンチカットについては理解できたかな?
研修生
はい、店長!
外からの衝撃によって、タイヤ側面のワイヤーが切れてしまいタイヤが風船のように膨らんでくる危険な状態ですね!
店長
そうだね!
そんな感じだね。
ピンチカットは、サイド部分にできたこぶのような膨らみで、中のカーカスという骨格が切れてしまっていたね。
では、ピンチカットとよく間違われる『セパレーション』って知っているかい?
研修生
よく、『セパってる』って言っていることですか?
聞いたことはありますが、よくわかっていません。
店長
セパレーションというのは、その名の通り離れるとかという意味でつかわれるよね。
タイヤで使われるセパレーションは、タイヤのゴムとゴムや、ゴムとその他の物質が剥離、離れてしまうことをいうんだよ。
研修生
そんなことってあるんですか?
頑丈にできたタイヤなのに・・・。
店長
新品のタイヤがすぐなるってことがあまりないんだけど、それでもタイヤによったら早い時期の起きる場合があるね。
研修生
そうなんですね。
そのセパレーションは放っておくとどうなってしまうんですか?
店長
タイヤのゴムが剥離してしまっているので、強度はなくなってしまっているんで、剥離の仕方や場所によっても違うけど、最悪の場合はバーストしちゃうよね。
走行中にバーストしたらとっても危険だから、事前の点検ってとっても重要だってこと。
研修生
走っていて、セパレーションって気付かないもんなんですか?
店長
タイヤのトレッド面(地面に接している面)がセパレーションを起こしていたら、振動で気付くかもしれないけど、タイヤの側面がセパレーションを起こしていても気付かない人が多いだろうね。
研修生
それじゃやっぱりタイヤの点検って大事なんですね。
店長
そうだね、自分でも異常に気づけるように、セパレーションについてもう少し詳しく解説するね。
タイヤが膨らんできたら危険なサイン!
タイヤは、ゴムだけでなく様々な素材のものがゴムの中に入れられています。
主には、車重や衝撃やスピードなどに耐えられるように、強力なワイヤーなども沢山入っています。
これらは、ゴムと密着されて強度が出せるように設計されています。
しかし、何らかの理由でこのゴムとその他の物質が剥離(離れて)してしまうことがあり、剥離するとその部分服編んだり剥がれたりしてしまいます。
写真は、トレッドセパレーションと言ってトレッド面がセパレーションを起こしてタイヤ内部のワイヤーが露出しています。
そのほかにも、タイヤのサイド部分が大きく膨らんだりする、チェーファーセパレーションなんて種類のセパレーションがありますね。
セパレーションはなぜ起きるんでしょう。
原因はいくつかありますが、セパレーションが起きる大きな要因はタイヤの劣化にあります。
タイヤはゴムでできているため、時間とともに劣化してきます。
その症状の一つがタイヤのひび割れですね。
タイヤのひび割れは、徐々に大きく深くなってきます。
その深くなったひびから水分や砂利等は入り剥離を起こしてしまいます。
その場合は、大きなひび割れができ少しその部分が柔らかくなります。
そして剥離は進行してくれは、膨らんできます。
最初は、少し気付きにくいかもしれませんね。
トレッド面(地面に接している面)が大きく膨らんでしまうセパレーションの場合は、
空気圧不足や過荷重が原因で起きることが多いのです。
その空気圧不足や過荷重の時に何らかの大きな衝撃があった場合に特に起きやすいのです。
あとは、タイヤの側面が大きく膨らんでしまうチェーファーセパレーションの場合は、引っ張りタイヤやタイヤが後ろから見たときにハの字になっている車で起きやすいセパレーションです。
これは、極度にタイヤのサイド部分だけに負荷がかかったり、本来とは逆向きに力がかかる事によってタイヤがその力に耐えきれす剥離してしまうのです。
タイヤの組み換えを何度もしている場合もチェーファーセパレーションが起きる場合があります。
タイヤは、基本的に一度ホイールに組み込んだら最後まで外さないように作られています。
何度も組み替えすることを想定していないんですね。
タイヤをホイールから外す時は、タイヤの側面に大きな力を加えて外します。
タイヤのサイズによっては、かなりの力を加えなければ外れない物もあります。
それを何度も繰り返したり、古くなったタイヤを組み替えたりすると、その衝撃でタイヤ内部が損傷しセパレーションが起きる事があります。
その時は、依頼した店舗に言えば何とかしてくれるかもしれませんが、本来はすることを前提にされていない作業なんでそれを依頼してあまり強く文句を言うのもどうかと思います。
そのようになった場合は、お互いが納得いくように話会いましょう。
・空気圧不足
・過積載
・タイヤの劣化
・タイヤサイズの不一致
・タイヤの接地不良
・組み替えの回数
などがあげられます。
あとは、安価な海外タイヤもセパレーションが起きやすいとされています。
国産タイヤや欧州系のタイヤは、厳しい検査基準があり品質も厳しく管理されています。
その分、それなりの価格になっていますがね。
それに比べて、安価なアジアンタイヤなどは、基準が国産タイヤと比べて厳しくないのと、安価に作るのを目的にしているためゴムの密着力が弱く剥離しやすくなっています。
それで、商品化してよい物なの?
と思うかもしれませんが、タイヤの品質基準は各メーカーによるものなので、そのようなタイヤが出回ってしまっているのも現実なのです。
もちろん、そのような海外メーカーのタイヤも新品の時からセパレーションが起きるわけではありません。
数年経ったってから症状が出るケースが多いので、もちろんクレームの言えずあまり使っていない状態でタイヤの交換をしないといけなくなるんですね。
セパレーションを発見したらそうしたらよいのでしょう?
セパレーションは、タイヤの強度が極度に落ちています。
元々くっついていないといけない部分が剥がれているので当然ですが、本来耐えられる強度はありません。
そして、剥がれてしまっている部分はもう機能していないので、剥がれていない部分だけでタイヤの中からの強い空気を受け止めています。
場合によってはその空気圧に耐えきれす破裂してします可能性もあるので、セパレーションを発見した場合は、可能であればスペアタイヤに交換後空気を抜いて、タイヤを交換しましょう。
スペアタイヤがない場合は、速やかにタイヤ交換ができる場所に移動して、交換してもらうようにしましょう。
決して、空気を足したり液体のパンク修理剤を注入したりしないようにしてください。
セパレーションは。そのまま走行を続けるとバーストする可能性が極めて高くなります。
走行中のバーストは、本当に危険なので、セパレーションしているタイヤをそのまま使うのは絶対にしないでください。
セパレーションを起こさないようにするには。
それは、セパレーションの原因をしないようにすれば防ぐことができます。
・過積載はしない。
・トラックの場合は重量と空気圧を合わせる。
・劣化したタイヤを使わない。
・タイヤの適正ホイールサイズを守る。
・あまりハの字にはしない。
・何度も組み替えしたタイヤは使わない。
・定期的のタイヤの点検をする。
・安価なアジアンタイヤは注意が必要。
そのような事に気を付けていれば、セパレーションを起きにくくすることができるでしょう。
それでもセパレーションは起きてしまうことがあります。
走行中バーストして危険な目に合わないように、定期的にタイヤの点検と空気圧の点検をするようにしましょう。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。