前回は、梅雨時期にはあまり空気圧の補充をしない方が、水分がタイヤの中に入らなくて良いという話をしましたね。
では、今回は梅雨の時期に潜む危険とその対策を考えていきましょう。
研修生
タイヤの中に水分が入ると、タイヤにもホイールにも良くないことはわかりました。
だから湿度が高くて、雨が多い梅雨が来る前にタイヤの空気を少し高めで調整しておいた方が良いんですね。
でも、梅雨になる前にタイヤの空気圧を点検し忘れたり、梅雨じゃなくてもゲリラ雷雨なんてのも最近はあるので、雨が降った時に空気圧不足だとどうなるか教えてください。
店長
久留間くん、良い考えだね。
安全に車の運転をする為には、危険なことがどうやって起きるかを知っていたら危険を回避できるね。
雨には、とっても危険が多く潜んでいるので覚えておいた方がいいね。
研修生
例えばどんな危険があるんですか?
店長
まずは、車を運転していて誰もが1回は経験したことがあるかもしれないけど、タイヤが滑ってしまうスリップだね。
雨の日は、雨水が路面の上にあり抵抗が下がりスリップしてしまうんだよ。
研修生
ぼくもあります!
発進しようとしたら少しタイヤが空転したりとか、カーブの時に鉄板の上で少し横に車がながされる感じでした。
店長
そうだね。
雨で濡れた路面は滑りやすいので、いつもは普通に走れててもスリップしちゃうことあるよね!
それが高速になったらより危険な状態になることは、想像したらわかるとおもうんだけど、高速走行の時は、ハンドルもブレーキもきかない本当に怖いこともおこるんだよ!
研修生
ハンドルもブレーキもきかない??
それ、どーなっちゃうんですか?
店長
久留間くんはきいたことあるかな?
それをハイドロプレーニング現象と言うんだよ!
これは、タイヤが雨の上に乗ってしまい、路面に接していない状態で起こってしまう怖い現象なんだよ!
研修生
なんとなく聞いたことある気がしますが、全然意味がわかっていませんでした!
なんでそんなことが起こるんですか?
店長
それはね、タイヤの溝が少なかったり空気圧が低かったりしたときに起きやすいんだよ!
研修生
溝が少ないのはなんとなくイメージでわかるんですが、空気圧不足でもハイドロプレ・・なんとかはおきるんですか?
店長
ハイドロプレーニング現象ね!
そーなんだよ!
空気圧が不足していると、路面にたまった水の水圧にまけてタイヤが水の上に乗ってしまうんだよー!
だから、雨が多い梅雨の前に空気圧を少し高めに入れておくのがいいんだよね!
雨ってことは路面温度が下がりやすいから、前回教えた温度変化で空気圧が下がってしまうことを考え少しだけ高めに空気圧を設定しておくのが安心だよね!
研修生
それで、梅雨前は空気圧を少し高めにしておくって言っていたんですね!
店長
梅雨以外でも雨は降るし、最近ではゲリラ豪雨なんてのも降ったりするから、そー考えると梅雨時期にだけでなく日頃からちゃんと空気圧を管理するほうが安心ってことだよ。
研修生
そーですね!
ハイドロプレ・・・なんとかは怖いですもんね!
店長
ハイドロプレーニング現象ね!!
店長
では、もう少しハイドロプレーニング現象について詳しく解説します!
ハイドロプレーニング現象とは?雨の高速は要注意?
ハイドロプレーニング現象とは、雨の日など水溜まりの上を通過する時に、タイヤが水の膜に乗ってしまい、ハンドルもブレーキも効かなくなってしまう現象の事です。
特に高速走行時の80キロ以上の時に起きやすく、大きな事故の原因になっている1つです。
ただ、低速走行時でも起きる可能性はあるので油断はできません。
皆さんは、雨の日車を運転していて少し大きな水たまりを通過したことありませか?
この時、大きな水しぶきの音がしてハンドルがとられる経験をしている方も多いと思います。
これが小さなハイドロプレーニング現象なのです。
これが高速走行時だと、ハンドルが効かずブレーキもアクセルも効かない状態が長く続いて、とっても危険なんですね。
では、なぜハイドロプレーニング現象は起きるのでしょうか?
ハイドロプレーニング現象が起こる原因とは?
ハイドロプレーニング現象が起こる原因はいくつかの条件が重なって起こります。
主な原因は
・雨などによって水たまりができている時
・高速走行している時
・タイヤの空気圧が低い時
・タイヤの溝が少なくなっている時
があげられます。
このうち雨によっての水たまりはどうすることもできません。
高速走行時に水たまりを避けて走ることもできませんし、避けて走った方が危険なので、やめましょう。
高速走行時にハイドロプレーニング現象が起きやすいので、雨の日に運転する時はスピードは控えめに走ることがより安心ですね。
雨の日に高速道路が80キロ制限になるのは、80キロを超えるとハイドロプレーニング現象が起きる可能性が高くなるからという理由もあります。
タイヤの空気圧が低いとハイドロプレーニング現象が起きやすくなります。
これは、空気圧が不足した状態で走行するとタイヤがたわみ、均等に路面に接しなくなります。
そうすると路面を掴む力(グリップ力)が弱くなります。
その状態で水たまりの上を走行すると、タイヤの路面を掴む力より水圧の方が強くなり水の上に乗ってしまいます。
なので、空気圧は適正圧もしくは、路面が冷えて空気圧が少し下がることを考えて、適正空気圧より少し高めにしておくことをおススメします。
タイヤの溝の不足もハイドロプレーニング現象を起こす要因となります。
タイヤの溝の役割の一つに、排水効果(水を逃がす)があります。
これは、路面の上にある水をタイヤの縦の溝に集め後方に排水して、路面から水をなくしタイヤを路面と密着させるという大切な役割です。
タイヤの溝が減っていると、溝の体積より水の量の方が大くなり水が逃げ切ず、タイヤが水の上に乗ってしまいハイドロプレーニング現象を起こしてしまいます。
ハイドロプレーニング現象を起きにくくするために。
最近では、台風が沢山きたり、ゲリラ雷雨が降ったりと異常気象が多くなっているので、大雨の中車を運転する機会もあると思います。
いつ大雨が降ってもいいように、日ごろからタイヤのメンテナンスをし、雨の日はスピードを控えめに運転することを心掛けましょう。
タイヤのメンテナンスは簡単で、定期的なタイヤの空気圧の点検と溝の点検です。
自分では判断しにくい場合は、タイヤ専門店などに見てもらうと安心ですね。
タイヤを交換するときに、雨に強いタイヤを選ぶってのも、ハイドロプレーニング現象を起きにくくする方法の一つかもしれません。
今は、安全性の高いタイヤが販売されていて、雨の日の性能もランク別に表記されているので、選びやすいですよ。
ハイドロプレーニング現象が起きてしまった時の対処法
もし高速走行中にハイドロプレーニング現象が起きてしまったら、どのようにしたら危険度が減ると思いますか?
答えは
『なにもしない』です。
えっ?!と思われた方もおられるかもしれませんが、なにもしないというか、なにもできないの方が正しい言い方かもしれません。
ハイドロプレーニング現象が起きてしまったら、水の上をタイヤが滑ってしまっている状態なので、ハンドルも効きませんし、ブレーキもアクセルも効きません。
その中、下手にハンドルをきったり、ブレーキを踏んだりしたら、グリップが戻った時にその方向に急に車が動いてしまいます。
これが、交通事故を引き起こす原因の一つなので絶対にやめましょう。
ハイドロプレーニング現象が起きてしまったら、焦らずハンドルを動かないように固定し、ブレーキを踏まないように足を乗せそのままスピードが弱まるか、グリップが回復するまで待ちましょう。
実際起きてしまえば、パニック状態になる方も多いと思うので冷静に判断できないかもしれんせんが、落ち着いて
なにもしない が肝心です。
とはいえ起きた時の対処より、起きにくい対処を日々しておく方が簡単で安心ですね。
タイヤのメンテナスは、雨の日にも安全に運転するのにとっても重要なので、タイヤの空気圧、タイヤの残溝のチャックを梅雨前には必ず行ってくださいね。