以前、タイヤの空気圧についてと、タイヤサイズについてお話させていただきました。
その中で、タイヤのロードインデックスについて話しましたが、今回はそのロードインデックスの中でエクストラロード(XL)規格というものについてお話させていただきます。
店長
久留間くん、以前話したタイヤサイズとロードインデックスについては、理解できたかな?
研修生
ハイ、店長!
乗用車タイヤのサイズについてはわかりました。
簡単でしたよー!
店長
それならよかった
そしたら今日は、そのロードインデックスについて、もう少し難しい話をするね!
研修生
えっ?!
前回の分で終わりじゃなくて、続きがあったんですか?
店長
そーそー、
でも前回のロードインデックスの話を簡単と思えるなら、全然難しくないよ!
研修生
・・・。
はい、簡単でもなかったんですが、なんとか分かった感じです。
店長
??
なに保険かけてるの??
店長
まーいいや!
そんなことより、今回の話は、エクストラロードって規格の話!
エクストラロードって知ってるかい??
研修生
エクストラロードきかく??
なんか、コーヒーのようなタバコのような名前ですが、なんですかそれ?
店長
全く知らないってことだね!
タイヤの規格には、アメリカのTRA(ティーアールエイ)、
ヨーロッパのETRTO(エトルト)、
日本のJATMA(ジャトマ)といったタイヤ規格を定めている機関があり、
タイヤの寸法や負荷能力を制定し、その規格によってタイヤが作られているんだよ。
国により規格が異なるのが現状なんだね。
研修生
国によって、作られている規格が違うってことなんですね?!
全国にタイヤがあるので、全て共通で作られているのかと思っていました。
店長
現在では、タイヤの規格の共通化が進められているんだけど、共通になるのはまだまだ先が長そうだね。
そんなことより、そのエクストラロード(XL)規格ってのはね、ヨーロッパのタイヤ規格であるETRTO(エトルト)で規定されている規格なんだよ。
簡単に言うと、タイヤを強く作ることにより、空気圧を高く張れてそれだけ強度が増すタイヤのことなんだよ。
研修生
なんかよくわかりませんが、強いタイヤってことですね。
店長
まぁ~そ~だね。
以前話した、ロードインデックスはタイヤの負荷能力を示す指数だったね!
あの指数は、日本の規格JATMA(ジャトマ)が設定している規格なんだよ。
そして、ヨーロッパの規格ETRTO(エトルト)にエクストラロード(XL)規格という強化タイヤがあるってことなんだよ。
研修生
ヨーロッパの規格だったんですね。
そー言えば、日本の車よりヨーロッパの方が重たい車が多いですもんね。
店長
その辺が関係しているかはわからないけど、そーなのかもしれないね。
では、エクストラロードのタイヤがどのようなもので、どんなことに注意をしたらいいか、詳しく説明するね。
エクストラロード(XL)規格のタイヤと普通のタイヤの違い
まずは、先ほど説明した通り、エクストラロード(XL)規格のタイヤはヨーロッパのタイヤ規格ETRTO(エトルト)の中で設定されている、強化タイプのタイヤの事でしたね。
なのでこの場合、日本のメーカーのタイヤでもエクストラロード(XL)規格で作られたタイヤのロードインデックスは、エクストラロード(XL)規格の指数で計算してなければいけないって事になります。
ロードインデックスとは、タイヤがどのくらいの重さまで耐えることができるかという能力を指数にしたものでしたよね!
タイヤの空気圧は、高くすればより重い重さに耐えられるようになります。
それには限界があるので、空気を入れれば入れるほど強くなり続けることもなく、許容範囲は決まっていてある程度高くすればそれ以上能力は上がらず、逆にタイヤは高い空気圧に耐えられなくなってしまいます。
そこでエクストラロード(XL)規格のタイヤは、普通のタイヤより高い空気圧を張れるように強化し、同じサイズでもより重い重さに耐えられるように作られたタイヤなのです。
逆を言えば、高い空気圧にすると強度が上がるため、標準空気圧ぐらいに設定すると、普通のタイヤより能力が下がってしまう事があるという事です。
ココに注意が必要ですね。
標準空気圧では、空気圧不足になる可能性がある?!
次の図を見てください。
これが普通のタイヤ(STD)とエクストラロード(XL)規格のタイヤの負荷能力対応表です。
今回は、例として日本車でも標準装着されているサイズ
215/45R17の表になっています。
この場合、スタンダード規格のタイヤのロードインデックスは87で
エクストラロード(XL)規格のタイヤのロードインデックスは91ですね。
ロードインデックスだけ見れば、エクストラロード(XL)規格のタイヤの方が能力は高く見えますが、空気圧を210kPaに設定した時の負荷能力を見てください。
スタンダード規格のタイヤの負荷能力は505kgに対して
エクストラロード(XL)規格のタイヤの方の能力は475kgとスタンダード規格のタイヤの方が、負荷能力は高くなります。
次に、空気圧を260kPaに設定した時の負荷能力を見てください。
スタンダード規格のタイヤは設定外で240kPaの545kg以降の負荷能力は記載がありません。
という事はスタンダード規格のタイヤは、空気を高くしても545kgまでしか耐えられないということになります。
それに対して、エクストラロード(XL)規格のタイヤの方がは260kPaに空気圧を設定した場合、565kgまで負荷能力は上がります。
これが、エクストラロード(XL)規格のタイヤの強さとなります。
では、この表が意味するものはなんなのかというと、
スタンダード規格のタイヤで210kPaで設定されている車にエクストラロード(XL)規格のタイヤを装着する場合、230Kpaの空気圧が必要だという事です。
スタンダード規格のタイヤで210KPaの空気圧を入れた場合、505kgの負荷能力がありますが、同じ負荷能力をエクストラロード(XL)規格のタイヤで得ようとした場合230kPaの空気あるが必要になるという事になります。
という事は、この場合エクストラロード(XL)規格のタイヤで標準空気圧を入れると
空気圧不足になるという事になります。
ココが、ポイントなんですね。
エクストラロード(XL)規格のタイヤのロードインデックスは高く設定されていて、標準空気圧でも負荷能力が落ちないようになっているタイヤが増えてきているので、エクストラロード(XL)規格のタイヤだからと言って、全てが空気圧を高めにしないといけないというわけではありませんが、
選ぶタイヤによっては、空気圧の設定を変更しないといけない場合があるので注意してください。
このことは、タイヤ屋さんのスタッフでも、経験の浅い人は知らない場合も多いので、わからなければベテラン店員に聞く方がいいかもしれませんね。
詳しいスタンダード規格のタイヤの負荷能力対応表と
エクストラロード(XL)規格のタイヤの負荷能力対応表はこちらにあるので参考にしてください。
(ブリヂストンのHPに飛びます)
ただ、エクストラロード(XL)規格のタイヤは比較的大きなタイヤか、偏平率の低いタイヤ(薄いタイヤ)に多いので、そのようなタイヤでなければスタンダード規格のタイヤしか設定がない場合が多いので気にしなくていいと思います。
エクストラロード(XL)規格のタイヤは、タイヤのサイド部分に必ず『XL』の文字か、『EXTRA LOAD 』の文字が必ず書いてあるので、確認してみてください。
今回は、同じサイズでスタンダード規格のタイヤとエクストラロード(XL)規格のタイヤの場合の注意点について解説しましたが、もう少し難しくなるのが、インチアップした時に元々スタンダード規格のタイヤだったものから、エクストラロード(XL)規格のタイヤサイズに変更する時です。
それについては、次回解説しますね。
では、今回はこの辺で。