前回は、同じサイズでのタイヤ交換でエクストラロード(XL)規格のタイヤに変えた時の空気圧についての解説と、注意するポイントをお話させていただきました。
以前お話した、タイヤ・ホイールのインチアップをした時に、タイヤがエクストラロード(XL)規格に変わるってしまう事が良くあります。
インチアップをすると空気圧を高めにするという認識は多くの人にあるのですが、ではその空気はいくらにしたらいいのか?
そのことをはっきりわかり人は少ないのではないでしょうか。
今回は、標準タイヤからインチアップをしてエクストラロード(XL)規格のタイヤに変更になった時の空気圧の計算の仕方についてお話します。
店長
久留間くん、前回話したエクストラロード(XL)規格のタイヤについては分かったかい?
研修生
うぅ~ん、大体わかりました。
たぶん・・・。
店長
ちょっと不安だけど、今回はさらに難しくなるからちゃんとついてきてね!
研修生
えっ?!
まだ続きがあるんですか??
分かりました。ちゃんと勉強します。
店長
前回は、タイヤ交換をする際新しく装着するタイヤがエクストラロード(XL)規格のタイヤだった場合の空気圧の計算の仕方について話したね。
エクストラロード(XL)規格のタイヤの方が、空気圧を高めに入れなければいけない事が多いので、タイヤ交換をした後のタイヤが普通のタイヤなのか、エクストラロード(XL)規格のタイヤなのかによって必要な空気圧が変わってくるんだったよね。
研修生
はい!
その辺は何となくわかりました。
店長
では、今回はタイヤとホイールをインチアップした時の空気圧ついて教えるね!
インチアップについては以前話したので覚えてるよね?
研修生
外径は変えずにホイールの大きさだけ大きくするんでしたよね。
店長
そのとおり!
ちゃんと覚えているじゃない。
例外やあえての場合はあるけど、基本的にタイヤの外径は変えずにホイールの外径を大きくするのがインチアップだったよね。
では、インチアップした時のタイヤがエクストラロード(XL)規格のタイヤだった場合の空気圧の設定はどうしたらいいのか?
ってのが今回の話だよ。
研修生
うぅ~ん?!
インチアップした時は空気圧を高めにするってのは聞いたことあるけど、実際空気圧をどれだけ高くしたらいいかはよく分かりませんね。
店長
その、インチアップした時は空気圧は高くするって言うのはよく言われることだね。
でも、どれだけ高くするのかまではみんなよくわかっていないのが現状なんだよ。
店長
空気圧を高くする理由もいくつかあってね、
今話しているロードインデックスが足りなくて負荷能力を上げるために空気圧を高くする理由と、
インチアップした時はタイヤの偏平率が下がりタイヤが薄くなるので、空気圧が減ってもタイヤがペチャっとへしゃげないので空気不足に気づきにくくなるんだよ。
なので、少し高めにしておくって理由もあるし、
薄いタイヤに変えて空気圧が低いと、段差などを乗り越えた時に、タイヤがたわんでホイールに地面の衝撃が直に伝わってしまいホイールがダメになることがあるんだよ。
そうならない為に、空気圧を高くして地面の衝撃がホイールに直接伝わらないようにしているって事もあるんだよ。
研修生
空気圧を高くするのには、いろいろな理由があるんですね。
店長
そーだね。
今回は、その中でもインチアップによって普通タイヤからエクストラロード(XL)規格のタイヤに変わった場合の空気圧の変更について解説するね。
インチアップした場合の空気圧
以前インチアップの正しいタイヤサイズの選び方について解説しました。
インチアップとは、タイヤの外径を変えずにホイールを大きくしてタイヤの偏平率(タイヤの薄さ)を下げるってことでした。
タイヤの偏平率が下がればタイヤのサイド部分の厚みは薄くなります。
でも、車の重量は変わらないので、同じ重さの車を薄いタイヤで支えなければいけません。
なので、薄いタイヤはサイド部分が強く作られいるケースが多いのです。
でも、タイヤの中は空気だけなので、薄いタイヤの中の空気量はやはり少なくなるので、質量が少なくなった分は空気圧を上げてあげなければなりません。
考え方は、前回の同じサイズでエクストラロード(XL)規格のタイヤに交換した時と同じです。
この図は前回の同じサイズの時の分ですね。
そして次が
標準タイヤが、195/65R15でよく使われているサイズですね。
最近では、ミニバンにも多く使われています。
ノア・ヴォクシーやセレナ、ステップワゴンなどの5ナンバーサイズのミニバンにはよく装着されていますね。
あとは、ミディアムセダンやハッチバックなど、とっても多くの車種で使われているタイヤサイズになります。
この、195/65R15をインチアップすると推奨サイズは
215/45R17になります。
少し外径は小さくなりますが、偏平率50にすると大きくなるので45偏平の方がよいでしょう。
それでは次の図です。
これは、195/65R15と
215/45R17のエクストラロード(XL)規格の負荷能力を表したものですが、
ロードインデックスはどちらも91で同じですね。
195/65R15の負荷能力は、230kPaの空気圧を入れて600kgとなっています。
215/45R17の230kPaを見てみると510kgの負荷能力しかありません。
それでは、全然足りませんね。
215/45R17で600kgの負荷能力を出せる空気圧を見てみると280kPaになっています。
エクストラロード(XL)規格になった215/45R17だと280kPa入れないと600kgの負荷能力を出せないということになります。
サイズ別の負荷能力対応表はこちらにあります。
(ブリヂストンのHPに飛びます)
インチアップしてエクストラロード(XL)規格のタイヤのに変わった時はここの負荷能力対応表を見てください。
インチアップした時の空気圧の計算方法
手順としては、
①まずは、標準タイヤサイズの時の標準空気圧とロードインデックスを調べます。
②次に、日本のタイヤ規格(JATMA)の負荷能力対応表で標準タイヤのロードインデックスと標準空気圧の場合の負荷能力を調べます。
③次に、インチアップしたタイヤサイズのロードインデックスを調べます。
④そのロードインデックをヨーロッパのタイヤ規格(ETRTO)の負荷能力対応表でエクストラロード(XL)規格の負荷能力を見ます。
⑤そして、②で調べた負荷能力を越える数字をエクストラロード(XL)規格の対応表で探します。
⑥最後にその負荷能力を出せる空気圧を見ればそれが答えです。
文章にすると少し難しい感じもしますが、表を見ながらすればわかってもらえると思います。
タイヤ屋さんでも、インチアップした時の適正空気圧を正確に答えてくれるお店は少ないのではないでしょうか。
専門店のスタッフは慣れているので、大体のインチアップ時の空気圧は感覚で分かっています。
ただ、ロードインデックスを調べて割り出した負荷能力に対する空気圧ではなく、あくまでも感覚的な空気圧なので、ちゃんとした空気圧を知りたい場合はこうやって調べてもらえればすっきりするかと思います。
インチアップした時の空気圧の計算方法は分かっていただだけましたか?
インチアップして車をかっこよくしてもちゃんとした空気圧を入れていないと危険になることもあるので注意しましょうね。
それでは今日はこの辺で。